2011年06月28日

メキシコの指揮者プリエート氏とウクライナの21歳の美人ピアニストアンナ・フェドロ−ヴァを迎えての公演でした。最初はメキシコ人の曲でしたがなかなか良い曲でした。私は昨年メキシコ国立交響楽団を指揮した際、箸にも棒にもかからないメキシコ人の曲をやらされて閉口した記憶が鮮明に残っていましたが、今回のは心地よく聴こえました。指揮者も何度もやっているようで全曲の中で一番手の内って感じでした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番もそれなりに、彼女もやや音量に難(弱い?)ありといえども無難にこなし、大きな拍手をもらっていました。幻想交響曲は、私の趣味としてはややおとなしすぎる感がありましたが、これも順調にいったというべきでしょう。もう少し派手な幻想交響曲をイメージしていたのですが?!でもこれは最近の東京文化会館の響きのドライさにも関係があるかもしれません。先月の第74回定期で私が[新世界から]を振った時もそのドライな響きに閉口した記憶が生々しく、昔の素晴らしい響きはいったいどこへ行ってしまったのか、数年前?の大改修でかえって悪くなってしまったようです。普段は我が団がピットに入っているときにしか聴いていなかったので・・・・・・・。

でも、先日に限ってみればこの4月からの契約更改で大幅に入れ替わった団員の効果が出ていました。どのセクションも精度が高く、東京の10のオーケストラの平均レヴェルを明らかに超えていたと思っています。お客様からの反響も上々でメデタシメデタシでした。・・・・・が!!!!

・・・・・が!!!!

とんでもないハプニングにが!、人生でおそらく最初で最後であろうとんでもないハプニングが第2ステージの協奏曲第3楽章中に起こってしまいました。

1階の一番前のど真ん中に座っていた女性が突然奇声を発し始めたのです!初めは何かハプニングがその人に起き、とっさに叫び声を上げてしまったのかと思ったのですが、最悪なことに、その奇声が波打つように周期的に聞こえ出し、しかも最悪なことにその隣の人に殴りかかったり、上から覆いかぶさるような格好になったりで、初めは喧嘩かとも思ったのですが、奇声を止めに入ったことに激怒した・・・・・。後は想像にお任せします。

私としても総責任者として何かしなければとの思いに駆られたのですが、止めに入った事務局員の静止も振りきり・・・・、へたに静止するとさらに大声を挙げそうな状態で、ただただ早く演奏が終わることを祈るばかりでした。まさに人質にピストルを突きつけられてどうにも手を出せずにやきもきしている警察官の気持ちで・・・・・。

しかし、演奏が終わると本人は叫ぶのをやめ大きなモーションで大拍手!!それにはびっくりで、ソリストのアンコールが始まるとソリストからわずか2〜3メートルの席から見事な?!指揮を彼女に向かってやりだした!あの指揮?を見ると単なる精神異常者ではない!よほどの音楽気違いで、それがたたりすぎて異常に・・・・?

ソリストにも申し訳ないし、もちろんお客様にも本当に・・・・・・。15分の休憩中に何としてでも外に出さなければと駆けつけたのですが、私が席に付く前に誰かに抱えられるようにロビーへ、そのあとを追ったのですが、見失いました。後から聞くところによると、タバコをすうために自ら会場外に出たそうです。でもそれを知らない私や多くのスタッフ、それに入り口付近の主催者のたまり場付近に駆け寄った怒り心頭のお客様はまた入場してくるのではないかとその対応に右往左往。

私も総責任者としてどうすべきか冷静に考えなくてはならないのですが、まずは絶対に後半で彼女が客席に再入場させないことばかりに頭が行ってしまい・・・・

お客様の、この責任誰がどうとってくれるんだ!責任者は誰だ!・・・私です・・・・何!そんなところで何してるんだ!金返せ!・・・・・その気持ちはわからないではないですが、どこの団体でも起こりうる不可抗力の事態に、何もそこまで言わなくても、言ったって何も解決しやしないのに!ってついつい思っちゃったりも・・・・。

そうこうするうちに後半の開始を知らせる1ベルが鳴り始め、さーどうするべきか!場内アナでお客様に騒ぎの陳謝をするか!いや、そんなんでは済まされない?!

結局私が舞台に出て直接陳謝した方が良いとの考えがとっさに浮かび1階の入り口から走って楽屋入り口へ、そして下手の舞台袖で、マイクを要求したのですが、そんなの頼んでない、って言われ、2分待ってようやく舞台の下手端に出ました。

いつも開演前にプレトークを何の準備も無くこなしてきたのですが、今回は事情が違いました。そもそもどういう陳謝の方法をとればよいのか、超満員のお客の前に出たことは良いのですが、しどろもどろでしゃべっているうちにお客様から聞こえない!って容赦ない声が! もっと大きな声でもっと神妙に深々と誤れって言われているのかと思って、益々緊張が増す。結局は私のマイクの持ち方が悪く、単にお客さんの方に声が届いてなかったということだったのですが。

マイクの角度を変えたら突然聞こえたらしく、また同じお詫びの言葉を・・・・。絶対にその内容は不合格点に決まっているのですが、舞台裏に戻ったとき、良かったよ!助かったわ!って気を使う言葉をもらいました。わかってはいてもこの言葉には癒されました。

でも後半の幻想交響曲はほとんどノーミスで、精度の高い演奏を聴かせてくれ、アンコールもヴラーヴォの声が飛び交い、最終的には多くのお客様に満足して帰っていただくことが出来ました。フ〜、やれやれ!

この異常なる女性は7月の定期の切符もすでに買っているそうで、今後の課題はいかにしてこの女性の入場を防ぐかにかかっています。

コメント (2)

  1. はじめまして。まず最初に申し上げたいのは、ほんとに大災難でしたね、ということです。自分も演奏会には半世紀近く通ってますがこんなことは初めてです。団体の長としては頭の中が真っ白になられたことでしょう。あとは次月これをどう防ぐか、そして他団体にもこの件の顛末を連絡し注意を促すことが大事だと思います。起きたことはもう戻しようが無いので、これからをどうしていくかが大事だと思います。そこでこの団体の真価と信頼が問われると思います。それにしてもいい指揮者でした。あんないい指揮者が日本でなぜあまり知られて無いのか不思議に思えたくらいでした。またぜひ呼んでいただきたい指揮者ですが、そのときはギャラがかなり跳ね上がってるかもしれません。嫌な事がおきた演奏会ですが、素晴らしい指揮者とめぐり合えたのが救いでした。オケもいい状態、特に弦はなかなかだったと思います。ただホールとの相性のせいか管楽器がけっこう苦労されていたようですね。来月はきっともっと練れたサウンドになるのではないかと思います。来月の公演が恙無く行われますことを。

    コメント by よみびとしらず — 2011/6/28 火曜日 @ 17:03:15

  2. よみびとしらず様コメントありがとうございました。私達としてもなんとか彼女を入場させないよう考えております。住所と名前まではわかりました。今後も向上目指して頑張ってまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

    コメント by tnc — 2011/7/1 金曜日 @ 0:05:34


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